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2023年7月19日(水)
ゆうのうえん代表の宮本陽子さんへのインタビュー。
辻堂にあるSunny Spotさんで美味しい麹ご飯ランチをご一緒したのち、畑に移動してゆうのうえん立ち上げへの想いなどを伺いました。
【プロフィール・経歴】
宮本陽子
株式会社ゆうのうえん 代表取締役
鹿児島の美しい海近くで育つ。
農業の手伝いが日常の中、漁猟師から戴く旬の味が自然への敬意と舌を鍛える。
横浜、鎌倉で公立小学校に13年勤務。
発達支援教室への着任が転機となりゆうのうえん発足。
暮らしに息づく学びを自然と共生する農に見出し2021年起業。
本の虫で風呂場も旅先でも読書。
イラストレーター、環境活動家、一児の母。
好きな家仕事は料理。
土と水を育むように肥料・農薬不使用、不耕起栽培のお野菜をお届けしています。
そして畑の草や虫、無数の生命体に触れ、感じ、おいしいお野菜をいただく環境教育の新しい形を提案しています。
人が耕さない栽培方法です。
じゃあ主語が何になるかというと植物の根や土壌に棲む生物です。
根の周りに棲む菌やミミズやムカデなどが、生きて食べてフンをして死んでのサイクルを繰り返す。
その活動で水や空気の通り道を作り、土がフカフカになるんです。
とにかく環境への負荷を減らしたいからです。
土壌を黒くてフカフカした状態にしておくだけでも環境への負荷を減らせるんです。
土壌は大気の2倍、地上に生えている植物の3倍の量の炭素を貯蔵できると言われています。
トラクターを利用するなど人が耕してしまうと、土の中に溜められていた炭素が大気中に放出されてしまいます。
なので私にとっては環境負荷をかけない選択肢の中でベストだと思い、不耕起栽培をしています。
他にも、農業は海の汚染に大きな影響を与えているんです。
土壌から排出される農薬とか肥料の成分で水が汚染されていってる。
特に日本は肥料も農薬もたっぷり使うから海のバランスがどんどん崩れていってしまう。
富栄養化や磯焼けなど目に見える形で環境が変化しています。
そういった状況を解決していきたいです。
でもやっぱり不耕起栽培・肥料農薬不使用だと土壌が育つのに時間がかかるし、難しい面もあります。
それでもたくさん採れるようにしたいから、本を色々読んでどうすれば多収になるのかと日々研究しています。
子どもたちにより豊かで持続可能な学習を提供したい。
そう願った時に、今の教育システムでは解決できないと感じたのがきっかけでした。
教員という仕事は、出会う子供や親、地域の方々と繋がるのですごく好きです。
ただ、教科書が「?」な内容だったりするんです。
教科は特に社会や理科が好きなんですが、肥料ありきで「これからの農業はどうしたらいいだろう?」って、子供に聞かないでよ。みたいな(笑)
それで子供に問う前に、私がやれてないっていうのをすごく思ったんです。
特に農業については、実家が農家で小さい頃から手伝っていて、本当に大変だったなって思います。
普段から身近に農薬があって、ちょっとマスクなしでいじったばっかりに父親が3日間寝込むとかもそばで見てきたし。
その大変さを「それはしょうがない」という雰囲気だったり、「これが仕事」という言葉だったり、実際に起きていることと自分たちがやっていることの認識が乖離しているというか。
小さい頃から自然に囲まれ、実家の農家を手伝う
実家の農家は現在兄が継いでいる
特に都市部にいたらそういう農家の実情は情報としてあまり入って来なかったり、一次産業って自然に対してアクションしているから「大変そう」「厳しそう」とかいう印象で終わっている。
だから「大事に残さず食べましょう」ぐらいで終わっているというか。
本当にそのプロセスに自分達は入っているのに入っていないという矛盾にずっとモヤモヤしていて。
また、大きな出来事として2人目の子を流産したんです。
その時、「なんのために産むんだろう?」「どう育てたいんだろう?」とかいうことをもう一度考える機会がすごくあって。
「今の教育を続けたらどういう未来が描けるんだろう?」みたいな想像がよりリアルになったんですがそれが割と厳しい想像ばかりになってしまって。。
だから、市場とかお店に野菜を出すっていうのが第一の目的ではないんです。
自然の一部である人間が、自然と共生しながら生きること。やっぱり皆さんにもう一回考えて欲しい。
そういうきっかけになりたいから「農家」としてではなく「会社」としてゆうのうえんを立ち上げたんです。
農体験「畑の学校もくど」や「ひびもく」など、身体と感性がときめく多数のプログラムを実施しています。
「畑の学校もくど」では、まず畑に行って、畑の様子を見てもらってそこに何があるかっていうのをみて自然を感じてもらう。
そこから土の話や草の話をしたり、その季節ならではの畑の作業。
草を刈ったり、大豆の種まきだったりごぼうの収穫だったり、時期や参加者に合わせたプログラムになっています。
終わったら、お疲れ様〜という感じでおやつを食べながら農業が与える環境へのインパクトの話をしたり^^
実は藤沢はすごく自然に恵まれているし色んな作物を育てることができることに気づいてもらって、自分で行動を変えられる人を増やしていきたいです。
そして「ひびもく」は誰にでも畑を開放する取り組みのことで、親子の居場所づくりというのが1番の目的。
登校拒否している子の親の話とかを学校外で間近に聞く機会があって。
毎日子供が自殺しようとしているとか、その日を送るために本当にしんどい状況があったんです。
教員時代、学校でそのような相談を受けていたときは、まだ学校に来れる状態だったので学校の中で話が聞けたんですが、家から出られない親子の生の声を聞くことがなかったから衝撃でした。
そういう人たちが安心して来れて自然に触れられる公園的な場所を作ろうと思って始めた取り組みです。
やりがいはまさに今の状況ですよね。
ゆうのうえんを通じて人がリアルに繋がっていくというのが本当に楽しくて。
私、友達大好きなんですよね。
一人でいるのも大好きなんだけど(笑)
独りでいられる畑があって、そこで得たものを伝えられる人がいるという関係は最高に嬉しいです。
一人いちゆうのうえん、を目指してみます。
自分を作れる唯一のものは食べ物。
肉や魚であってもベースとなるのは陸での農業。
だから土と水を育むようにお野菜を育てる。
「自分で食べるものは自分でつくる」が当たり前になるように働いていきます。
そして畑の利用価値を高めたいと思っています。
農を手掛かりにした学びが日常になるのを目指していて、学校とか企業の必修プログラムになるようにしていきたいんです。
自分の地域でモノは作れるっていうのを実感してほしいし、何より誰にだってできるんですよ。土は裏切らないから。
とはいえ、自然栽培で不耕起の畑作りは20年30年の長期スパン。
ゆうのうえんの活動を支援してもらえる仕組みを早急に構築したいと思います。
例えば、今一番求めているのはコミュニティバス。
畑まで気軽に行き来できるバスを運行してくれる方を募集しています。
現在は藤沢の北部や海老名など3箇所に不耕起の畑を持つ
"ゆうのうえん"は、
U = あなたが遊ぶ
KNOW=農を知る
EN = 縁を結び、経済を回す
という意味です。
ゆうのうえんはあなたの園です。
陽子さんとの畑巡り、本当に楽しかったです。
もぐらの穴だ!カナヘビだ!イモムシだ!
いち早く陽子さんが見つけます。
畑にいる生き物たちへのありのままの愛をすごく感じました。
そしてこれからの未来、農業について、ユーモアを交えながら熱心に話す陽子さんの姿が印象的でした。
僕自身本当に学ぶことが多くて、自分にできることから一つずつやっていきたいと思いました。
教員というキャリアを持つ陽子さんならではの環境教育の新しい形に可能性をすごく感じています。
一人いちゆうのうえん。皆さんもぜひ農体験に参加してみては?
"カラクテル 循環するジュエリー" の麻希子さんに撮影のサポートをしていただきました
終始和気藹々と素敵な日になりました
ゆうのうえん x Locomoコラボ!
2023/8/26(土)のゆうのうえんにて土上ライブを開催することになりました!
「畑の学校もくど」終了後16時から路上ライブならぬ「土上ライブ」!
ぜひご参加ください^^